自己破産の手続きから免責決定までの流れと注意点
2023/11/29
今回は、自己破産の手続きから免責決定までの流れと注意点について記載いたします。自己破産は、借金の返済が困難になった方であれば、誰でも利用できる制度ですが、手続きや免責決定には様々な注意点があります。本記事では、一般的な自己破産の手続きと注意点を解説し、利用する際に知っておくべきポイントについてご紹介いたします。
目次
自己破産とは?
自己破産とは、借金が返済不能になった場合に利用する法律手続きです。借金の返済ができなくなった場合は、裁判所に申し立てを行い、財産を清算し、全ての債権者に対して返済することができない旨を告げ、裁判所の審査を経ることで自己破産することができます。自己破産により、借金返済が免除されるため、借金問題に悩む多くの人々にとって救いとなっています。ただし、一度自己破産すると、その後の信用は損なわれる可能性があり、一定期間のクレジットカードやローンなどの利用が制限されることもあります。自己破産を検討する場合は、弁護士に相談して正しい手続きを行うことが大切です。
手続きの流れ
弁護士が依頼を受けると、まず債権者に受任通知を送ります。これにより督促がストップします。督促がストップしている間に、裁判所への申立て費用、弁護士費用を準備します。そして、申立てに必要な書類を順番に準備していきます。給与明細や預金通帳などは、毎月更新されていってしまうため、素早くすべての書類を一度に集める必要があります。そして、書類を裁判所に提出すると、管財人が付く場合とつかない場合があります。一定額以上の財産を持っている場合や個人事業主の場合は、管財人が付くことが多いです。
管財人がついた場合は、管財人の事務所へ訪問し、事情を説明します。その後、管財人が財産の調査をします。
管財人がついている、ついていないに関わらず、最終的に裁判所に出頭し、裁判官の面前で事情を説明する機会があります。そこで問題がなければ、後日「免責決定」を受けることができます。
免責決定の後、約2週間後に官報に掲載され、掲載後2週間で免責決定は確定します。これで手続きは終了です。
自己破産申立書の作成方法と注意点
自己破産を申し立てる際には、自己破産申立書の作成が必要です。自己破産申立書は、申立人の現状や資産・負債の状況、収入・支出の詳細などを記載する書類です。自己破産申立書の作成には、専門的な知識が必要なため、弁護士に依頼することが一般的です。申立書は、裁判所の定めた書式に沿って作成する必要があります。自己破産を申し立てる場合、必要な書類の提出には期限がありますので、注意が必要です。また、申立書は、弁護士が代理人となって作成します。そのほか、家計収支表、住民票、源泉徴収票、給与明細、生命保険証書、携帯電話の領収書、銀行口座通帳、など必要書類は多岐にわたります。自己破産は、生涯にわたる負債の帳消しを図るものですので、最善の方法で手続きを進めることが大切です。弁護士に相談することで、スムーズな手続きを進めることができますので、早めに専門家に相談しましょう。
免責決定までの手続きと期間
免責決定までの手続きには、債権者集会や債権調査期間、債務者の報告義務などがあり、時間や手間がかかることもあります。管財事件になり、裁判所から管財人が選任された場合には、管財人事務所への訪問も必要になり、期間が長期化します。複雑な長期化する手続きでも、弁護士が代理人となることで、免責決定までの手続きを迅速かつスムーズに進めることができるため、適切なアドバイスや指導を受けることが重要です。時間をかけずに免責決定を目指す場合、弁護士との相談をおすすめします。
免責不許可事由と注意点
弁護士にとって、免責不許可事由は重要な判断材料の一つです。免責の不許可事由があれば、債務者の免責が認められず、債務者は債務を返済しなければなりません。具体的には、過去7年以内に免責決定を受けたことがること、裁判所に虚偽の説明をすること、財産を隠すこと、等が挙げられます。これらをすると法律に違反するだけでなく、裁判所の印象も非常に悪くなるため、免責不許可事由があっても免責をしてもらえる裁量免責も得られなくなるおそれががるので注意が必要です。裁判所には真実を誠実に伝えることが一番です。また、免責不許可事由があっても、それが原因で免責を認めないことはありません。債務者の誠意や状況によっては、免責を認めることもあります(裁量免責)。弁護士は、債務者に対して免責不許可事由がある場合には、その事情を説明し、債務の解決方法を提案します。債務者にとっては、免責の不許可事由を事前に知ることが重要です。それによって、債務処理に際して適切な選択ができます。そのため、弁護士には免責不許可事由があっても、すべてお話していただければその後の対応を一緒に検討いたします。